最近はカードローンやキャッシングと言った手軽にお金を借りられるサービスが増えており、昔に比べると借金のハードルは下がっていると言えます。
それは非常に便利なことではありますが、その反面ついつい自分が返せる以上の金額まで借りすぎてしまうケースが後を絶たないのもまた事実です。
中には、複数の業者を利用していて、気が付いたら借入金額が年収を上回っていた…というパターンもあります。
もちろん、借りた以上は完済まで支払う努力をするべきではありますが、中には長引く返済で生活にも影響が出てしまう人もいるかもしれません。
そこでここでは、借金の支払いが可能かどうか疑問を感じつつある人に向けて、返済が辛い時に検討するべき3つの方法をご紹介します。
過去の借金払いすぎてはいませんか?過払い金を正しく理解する
年収以上の借り入れがあるという方の場合、かなり長期間にわたって複数のカードローンなどを利用しているケースが少なくないことと思います。
中には10年、15年前に借りたような、すでに完済していたり残高わずかの借金があるという方もいるのではないでしょうか?
その場合、一度その古い借金については見直してみた方がよいかもしれません。というのは、過払い金が発生している可能性が高いからです。
利息に要注意!過払い金発生の仕組み
過払い金とは、シンプルに言えば上限利息を超える金利設定によって払いすぎたお金のことを指します。
今でこそカードローンなどの上限金利は最大でも18~20%までと厳しく定められていますが、過去には29.2%までの金利は違法扱いされず、グレーゾーン金利としてまかり通っていました。
現状の法定金利が明確に定められたのは、実はここ10年少しのことなのです。
この場合、本来ならば払わなくてよかったはずの支払い分を過払い金として返還請求を行う権利が認められています。
『払いすぎた利息が戻る』は間違い!?過払い金請求とは
よく過払い金請求に関する法律事務所のCMなどで『払いすぎた利息が戻ってくる』というような意味合いの表現をされているのを見かけます。
しかしここまでの説明を読んでいただければ、それが少し事実とは違っているということがお分かりいただけますよね。
実際には、法定金利に基づいて計算した場合に払う必要のなかったお金、借金がゼロになっているのに払ってしまったお金を取り戻すことが、過払い金請求の正しい目的です。
したがって、過払い金の請求が可能なのはすでに完済している借金か、すでに過払い状態になっていて見かけ上残高のある借金に限られます。
ただし、法定金利以上の金利で返済を続けている借金があれば、遅かれ早かれ過払いが発生することになります。
いずれにしても、過去の借金を一度洗いなおしてみて、現状の法定金利以上のものがあれば一度は専門の法律事務所などに相談してみた方がよいでしょう。
返済がすでに終わっている借金に関しては、完済日から10年が経過すると時効となって過払い金請求ができなくなってしまうので、早めに行動することをおすすめします。
本来払う必要のないお金を早めに整理することで、少しでも借金の返済負担の軽減になるはずです。
借金が減るかも?任意整理と民事再生
現在のままでは借金を支払えなくなってしまう、あるいは生活が破たんしてしまう可能性が高いという場合には、債務整理を考えてみるのも1つの手段です。
債務整理にもいくつか種類がありますが、まずは借金を減らす方法として以下の2つをご紹介します。
- 任意整理
- 民事再生
それぞれについて詳しく解説していきます。
業者と交渉!任意整理の流れ
①借入時にさかのぼって法定金利を超えている場合は現在の上限金利にて再計算を行い、借金を減額する(引き直し計算)
②原則として金利はカットされ、元本のみを決められた期間(目安は3年程度)で分割返済する内容で業者と和解する
③以降、その取決めにしたがって返済を続ける
任意整理の特徴は、業者との直接交渉によって借金の減額を取り決めるという点です。交渉は法律事務所を通して行うのが一般的です。
なお、引き直し計算が有効に行われるのは、過払い金の発生するケースと同様にグレーゾーン金利で取引をしていた場合です。
想定通りに和解交渉が進めば、引き直し計算によって減額された元本さえ支払えばよいということになります。月々の返済額も、現状よりは少なくなる可能性が高いでしょう。
- 3年程度の支払いが可能な安定収入がある
- 減額後の金額であれば完済の見込みがある
上記に当てはまる方には、まずは任意整理の検討をおすすめします。
元金が減らせる?民事再生とは
①裁判所への個人民事再生申し立てを行う(必要があれば引き直し計算)
②個人再生委員との面接を行い、再生手続き開始の決定
③カードローン等業者による債権届け出後、債権認否一覧と再生計画の提出
④再生計画に対し、業者数(債権額)の過半数を超える反対がなければ裁判所により計画が認可される
⑤再生計画に基づいて支払いを行う
民事再生は、裁判所による認可を受けて初めて可能になる手続きです。
最大の特徴は、住宅等の大きな所有財産を維持したままで借金の大幅な減額が見込めることにあります。
減額された借金は任意整理と同様に原則3年程度で分割返済を行います。減額後の借金を完済できれば、住宅ローン以外の借金については返済が法律上免除されるのです。
- 現状の借金額を完済できる見込みが薄い
- 借金額が住宅ローンを除き5000万円以下
- ある程度の返済が可能な安定した継続収入がある
このような方には民事再生が有効な手段と言えます。
もう絶対に返せない…自己破産で本当に救われる?
もう絶対に借金を返せる見込みがない、どうにかして借金から逃れないと生活が破たんしてしまう…そこまで追い込まれてしまった方は、自己破産を考えた方がよいかもしれません。
裁判所に申請して支払い不能状態であると認められ自己破産手続きをすると、基本的にすべての借金を支払う義務がなくなります。
借金から完全に開放されることになるのです。
ただし、過去7年以内にすでに自己破産をしている場合には、原則として自己破産は認められないことになっているので注意が必要です。
また、20万円を超える高額の財産を所有している、免責不許可自由と呼ばれる自己破産をするにあたって不適切な事情があるなどの理由で、スムーズに自己破産が認められない場合があります。
そうなると少額管財という通常とは異なる手続きの必要な形式をとることになり破産管財人による調査を受ける必要が出てくるため、手続きに半年近く時間がかかってしまいます。
免責不許可自由にあたる行為としては主に以下のことが挙げられます。
- ギャンブルや高額な買い物等の浪費行為
- 特定の相手にのみ借金を返済
- 名義などを偽って新たに借金を増やす
- 自己破産申し立て後の不誠実な態度
着実に自己破産手続きを進めたいと考えるのであれば、上記のような行為は避けてください。
知らなきゃ危ない!?自己破産のデメリット
自己破産によって借金がなくなることは、何よりもありがたいメリットですが、やはり全くその代償がないというわけにはいきません。
自己破産のデメリットとして、知っておくべきものをご紹介します。
- 20万円を超える財産(現金は99万円を超える額)は原則すべて処分される(生活に不可欠な財産を除く)
- 自己破産手続き中は、会社の取締役・医師・公務員など特定の資格職に就くことができない(資格制限)
自己破産をすると借金はゼロになりますが、生活も大きく変わることは間違いありません。
債務整理でブラックになる?信用情報ホントのところ
いざ債務整理をするとなると、気になるのはブラックになってしまうのではないかということですよね。
ちなみにブラックというのはスラングであり、正確には信用情報に事故情報が残るという状態のことをさします。
信用情報とは個人の借入歴をデータ化したもので、カードローンを含め借入審査では必ず照会される重要な記録です。
事故情報というのは返済遅延や債務整理などの借入中にあったトラブルの記録で、信用情報上に事故情報があるとまず審査には通らなくなります。
これが『ブラックはお金が借りられなくなる』という噂の真相です。
ここまで紹介したもののうち、過払い金請求は原則として事故扱いにはなりませんが、それ以外の債務整理・自己破産はしっかり事故情報が残ってしまいます。
脱ブラックは可能!?事故情報が消えるまで
債務整理によってたとえブラックになってしまったとしても、もう一生お金が借りられないというわけではありません。
信用情報上の事故情報は、一定の期間を経過すると消去されることになっています。
事故内容 | 掲載期間 |
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任意整理 | 5年 |
民事再生 | 5年~10年 |
自己破産 | 5年~10年 |
内容によって信用情報への掲載期間は異なりますが、いずれにせよ正しく手続きを踏んで債務を整理すれば、一生事故情報が消えないということはありません。
ブラックになることを恐れて必要な債務整理を避けるのは、愚かな行為と言わざるを得ないでしょう。
ただし、掲載期間の数え始めは、そのトラブルが完全に解消した時点からです。手続きを途中で放置したりしていると、いつまでたっても事故情報が消えないので注意が必要です。
責任感の強い人ほど、借金はきちんと完済しなければと思うかもしれません。それは正しいことですが、人生を狂わせてしまっては元も子もありません。
状況によっては割り切って行動することも必要な時があります。年収を超えるような高額の借金に悩んでいるのであれば、一度自分に合った債務整理の方法を検討してみてはいかがでしょうか?