景気は回復しているとはいうけれど中小企業や個人事業主には、まだまだ先の見えにくい状況が続いています。思い切って新しい事業を始めてみたいけれど、先のこともあるし、なるべく低い金利で借りたいと思っている事業者も多いのでは?
いまはアベノミクスの影響で中小企業や個人事業主を支援する公的事業融資が充実してきています。また、銀行のビジネスローンでも金利の低いところがでてきています。
ここで、あなたの事業形態にあったローンを検証してみましょう。
日本政策金融公庫で融資を申し込むには
日本政策金融公の融資は、大きく分けて、以下のものがあります。
- 国民生活事業
- 中小企業事業
- 農林水産事業
農林水産事業は文字通り、農業や漁業に携わる人に貸し付けを行っています。
個人事業主が利用できるのは国民生活事業と中小企業事業となります。
この中で、さらに融資の種類が細かく分かれています。個人事業主が利用しやすそうなものをピックアップして、融資内容を大まかにまとめてみます。
●国民生活事業
普通貸付…ほとんどの事業で利用可。4,800万円(特定設備資金7,200万円)
- 融資限度額…4,800万円(特定設備資金7,200万円)
- 融資期間…設備資金10年以内(うち据置期間2年以内)
- 特定設備資金…20年以内(うち据置期間2年以内)
- 運転資金…7年以内(うち据置期間1年以内)
- 利率…担保有1.25~1.85%(条件に異なる。1%以下の場合も有)
担保無2.25%(条件に異なる。1%以下の場合も有)
●中小企業事業
女性・若者シニア企業家支援資金…女性、または33歳未満55歳以上で新規事業を始める人または事業開始7年以内。
- 融資限度額…直接貸付7億2,000万円(うち運転資金2億,000万円)
- 代理貸付…1億2,000万円
- 融資期間…設備資金10年以内(うち据置期間2年以内)
- 設備資金…20年以内(うち据置期間2年以内)
- 運転資金…7年以内(うち据置期間年以内)
- 利率…1.30%(条件により異なる)
- 担保の有無は相談による
- 5年ごとに金利見直し制度適用可
公的融資のメリット・デメリット
日本政策金融公庫を利用するさいのメリットとデメリットをまとめてみました。
●メリット
- 事業実績のない人にも融資を前向きに検討してくれる
- 金利が低い
- 長期の返済が可能
- 条件次第で保証人・担保の必要がない
●デメリット
- 審査に時間がかかる
- 事業計画書を提出するなど、手続きが煩雑
- 返済が遅れると、その後の融資は受け付けてくれない(猶予期間あり)
- 必ず貸してくれるとは限らない
営利目的ではないので、金利が低く設定され、返済期間も民間の金融業者に比べると長めですが、その分審査は厳しく細かいヒアリングを受けます。
事業計画書は綿密に作る必要があります。
金利の低い銀行の事業ローンはここ!
銀行のビジネスローンは法人資格がないと借りられないことが多いのですが、地方銀行の中には個人事業主やフリーランスの人でも融資してくれるところがあります。
おもなものをピックアップしてみました。
静岡銀行…しずぎんビジネスクイックローン
- 融資限度額…50万~500万円
- 返済期間…7年~10年(借入れ額による)
- 利率…5%・8%・14.9%(審査により決定)
- 返済方法…元利均等返済
- 用意する書類など…印鑑、身分証明書のコピー(運転免許証・パスポートなど)
- 年収を確認できるもの(確定申告書など、融資金額が300万円以下の場合は不要)
- 保証人…不要
横浜銀行…ビジネスフリーローン
- 融資限度額…10万~500万円
- 返済期間…年~10年(借入れ額による)
- 利率…4.8%・8%・14.5%(審査により決定)
- 返済方法…元利均等返済
- 用意する書類など…印鑑、身分証明書のコピー(運転免許証・パスポートなど)
- 年収を確認できるもの(確定申告書など、融資金額が300万円以下の場合は不要)
- 保証人…不要(保障会社クレディセゾン)
八千代銀行…八千代のフリーローン
- 融資限度額…10万~500万円
- 返済期間…10年以内(借入れ額による)
- 利率…4.3%、6.8%、8.8%、10.8%、14.5%(審査により決定)
- 返済方法…要確認(固定金利)
- 用意する書類など…印鑑、身分証明書のコピー(運転免許証・パスポートなど)
- 年収を確認できるもの(確定申告書など、融資金額が300万円以下の場合は不要)
- 保証人…不要(保障会社)
常用銀行…クイックJ
- 融資限度額…100万~1,000万円
- 返済期間…借入れ金額による
- 利率…5.1%~12.1%(ネットでの申し込みの場合は4.2%~11.2%)
- 返済方法…要確認(変動金利)
- 用意する書類など…印鑑、身分証明書のコピー(運転免許証・パスポートなど)
- 保証人…不要
紀陽銀行…紀陽オーナー300
- 融資限度額…10万~00万円
- 返済期間…6ヶ月以上最長7年
- 利率… 5.8%、9.8%、13.8%
- 返済方法…元利均等返済
- 用意する書類など…印鑑、身分証明書のコピー(運転免許証・パスポートなど)
- 保証人…不要
大手銀行は個人事業主への融資は消極的
大手銀行のビジネスローンは、ほとんど法人が対象となっています。個人用のフリーローンでは事業性の融資は認められていません。
公的融資と銀行以外から融資を受けようとすると、信販会社のカードローンか消費者金融系のビジネスローンとなります。審査が早い、手続きが公的融資や銀行に比べると楽という利点もありますが、金利はどうしても高いし返済期間も短かくなっています。
一時的なつなぎ資金としてはいいかもしれませんが、新規事業や長期の運転資金としては不向きといえます。
しかし、やや金利の低いものもあるので参考までに挙げておきます。
三井住友カード…ゴールドローンカードレス
- 融資限度額…50万~700万円
- 返済期間…最長11年9ヶ月(借入れ額による)
- 利率…3.5%~9.2%(審査により決定)
- 返済方法…毎月元金定額返済
- 用意する書類など…印鑑、身分証明書のコピー(運転免許証・パスポートなど)
- 保証人…不要(保障会社)
金利は低めですが、借入れ期間が1年もありません。多額の金額を借りるには不向きといえます。
銀行から融資を受けるときの注意点とは
銀行のビジネスローンでも、銀行により借入れ金額の上限や利息などに違いがあるのがおわかりいただけたかと思います。地方銀行から融資を受ける場合は、消費者金融系のビジネスローンとは異なる注意点があります。
まず、融資を受けられる事業者が大手銀行のカードローンに比べるとかなり限定的です。全国展開している銀行はほとんどありません。
利用できるのはその銀行の支店近隣で事業をしているか、住居をかまえている人に限られるます。
自分の住所が該当するか、きちんと確認しましょう。
ネットでスピーディーに審査してくれる銀行もありますが、収入や資産状況、他社からの借入れ状況を細かく記入することになります。うっかりして間違った金額を入力してしまうと、不信をかう原因になりかねません。
また、審査を通すために虚偽の金額を書き入れるのは絶対にやめましょう。
また、保証人不要とはいっても銀行のローンには信販会社や消費者金融が保障会社として入っていることがほとんどです。ローンを申し込んだ人の過去の信用情報を調べて、安心して貸せる人かどうかを見られます。過去5年~10年のローンやクレジットカードの返済に延滞など、事故情報があれば審査に通らない可能性もあります。自分の信用履歴をもう一度チェックしてみましょう。
せっかく企業したのですから、綿密な事業計画をたてて社会に貢献できる事業にしてくださいね。